知らんけど

Yeah! めっちゃホリディ

今年の観劇納め「ファントム〜もうひとつのオペラ座の怪人〜」感想

気がつけば最後に更新してから3ヶ月経ってたしなんなら2019年あと5日で終わるらしい。月日の流れ早すぎでは…?

ということで、年内最後の記事は先日観に行ったファントムについて。

 


この日のキャストはこちら

 

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愛希さんのクリスティーヌは歌う歓びに満ちたクリスティーヌだった。席がど真ん中だったので表情を真正面から捉えられる機会が多かったのだけど、歌っている時の表情がとにかく幸せそう。特にパリのメロディーをとびきりの笑顔で歌う姿には見ているこちらまでハッピーな気持ちになった!

あと何と言っても超かわいい。かわいくて純粋で真っ直ぐな女の子。カルロッタに「畑で育ったの?」と嫌味を言われて「はい!」と屈託無く答える場面があるけれど、正に田舎の豊かな自然の中で太陽の光をいっぱいに浴びてすくすく育ってきた、そんなキラキラと眩しいクリスティーヌだった。

 

そして城田優さんのエリックですが……、正直に言うと私はちょっと苦手でした……。エリックの誇張された吃り方、興奮した時の荒い息遣い、テンションが上がると突然早口で捲したててくるところなどから、序盤で「あ、きついかも」と思ってしまった。そして「ごめんなさい、私にはこのエリックは愛せないかもしれません………」と心の中で誰に言うともなく詫びた。

エリックが話すたびそわそわして、今にも彼が「デュフフww」とでも笑い出すんじゃないかという謎の緊張感と一人戦っていた。(無意味な戦いだった…)

ただ後半はだんだん慣れてきたのと、あとやっぱりお歌がめちゃくちゃに上手いこともあってしっかり泣かされたししっかり感動させられた。

城田さんのエリックは無垢な子供の純粋さと大人の男としての凶暴性が同じくらいの比率で混ざり合ったエリックだと感じた。例えばピクニックの場面で心から楽しそうに振る舞う姿と、クリスティーヌの復讐のため逃げるカルロッタを捕まえて執拗にナイフを振り下ろす姿はあまりにも乖離している。けれどその全く異なった性質が混在するのが城田エリックであって、だからこそ彼が持つ清らかさと恐ろしさの両面が要所要所で色濃く際立っていたように思う。

 

エリックがクリスティーヌに惹かれた理由として、彼女に母親の面影を重ねていたからというのが大きいと思うのだけど、私は愛希さんのクリスティーヌに母性はあまり感じなかったかな。愛希クリスティーヌが一番に関心を向けるのは他でもない自分自身であり、その自分の夢を叶えることにしか興味がなさそう。物語が動くと同時に彼女を取り巻く環境はみるみる変化してどんどん夢が現実になっていく。だからずっとふわふわと夢見心地で周りが見えていなくても不思議ではないなぁと思う。ただそのせいで彼女に対するエリックの執着も一方的で空回っているという印象が強く、私の目にはエリックがより悲しく寂しい人物に見えた。

 

愛希クリスティーヌは芯があって自分自身に正直で、わりとその時々の感情のままに動いている感じ。だから仮面の下を見せてほしいと頼んだ時「エリックの顔を見たい」「自分なら受け止められる」「受け止めてあげたい」と思ったのはどれも嘘偽りない彼女の本心だったのだと思う。結局逃げ出してしまうわけだけど、その行動もエリックの顔を見た瞬間の彼女の正直な気持ちがそうさせた。エリックを思うと本当に胸が痛むけど、クリスティーヌの行動には常に彼女の正直な心が反映されていると考えると「まあ、しょうがないよね……」と悲しくもどこか納得してしまう自分がいた。

 


今回愛希さんはクリスティーヌの他にエリックの母ベラドーヴァも演じられていたのだけど、クリスティーヌの時とは違ってエリックの母親として舞台に存在した愛希さんは一転して我が子への慈愛に満ちていた。オペラグラスを除いた先にそれはそれは愛おしそうにエリックを抱く母親としての顔があって、見た瞬間思わず息を飲んだ。暖かくてどこまでも優しい表情だった。

 

あと、久しぶりにがっつり踊る愛希さんが見られてうれしかったなぁ…!

オペラ座のダンサーとして踊っている時は全身から陽のオーラを放つ華やかさがあって、オペラ座の人気ダンサーというベラドーヴァの過去にぐっと説得力が増していた。それが一転キャリエールの裏切りが分かった時にはその踊り方から彼女の深い悲しみと苦しみをふつふつと感じ、先程までのベラドーヴァとは別人だとさえ感じた。この世の全ての絶望を背負っているようだった。

少しだけBADDYの怒りのロケットのシーンを思い出した。愛希さんの役としての感情の爆発させ方が本当に大好き。心を表現する方法って表情や声だけじゃないんだということ、愛希さんを好きになってから何度も何度も思い知らされる。

またひとつ、ふとした時に思い出す「愛希さんがめちゃくちゃ素敵だった瞬間コレクション」が増えて、ファンとして幸せだ〜〜!!!

 


劇場を出たあとは「良いものを見たなぁ」という充足感で12月の寒さも全く苦にならなず、泣いて熱を持った頬に冷たい風が心地よかった。阪急インターナショナルのクリスマスツリーが綺麗で写真を一枚撮ってから帰った。

 

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